月次の仕訳作業——銀行明細の転記、勘定科目の振り分け、消費税区分の確認——は、毎月必ず発生するわりに単純なルーチンです。Claude CodeとfreeeをMCP(Model Context Protocol)で繋ぐと、この作業の「繰り返し部分」をAIに任せ、自分は確認と最終承認だけに集中する半自動設計が実現できます。
- 個人事業主・フリーランス:freee MCPのリモート版(mcp.freee.co.jp)を`claude mcp add`で登録するだけ。設定ファイルを書かなくて済む。
- 法人・複数担当者:ローカル版OSS(freee-mcp)でアクセス制御を細かく管理し、チームで運用。
- 共通の鉄則:AIが出す仕訳はあくまで「下書き」。最終確認・確定は必ず人間が行う。
全体像:Claude Code × freee MCPで何ができるか

freee MCPは、freeeが提供するAPIをMCP形式で利用できるようにしたブリッジです。freee MCPの概要と仕組みで詳しく解説していますが、ここでは実務での使い方に絞って説明します。
2026年3月2日に公開されたOSSのローカル版に続き、3月27日には設定不要で使えるリモート版(mcp.freee.co.jp)がリリースされました。対応APIはfreeeの全プロダクト合計で約270〜330に上り、会計だけでなく人事労務・請求書管理など幅広い機能をカバーしています。
月次の仕訳業務で活用できる主な操作は以下のとおりです。
- 取引(仕訳)の一覧取得・検索
- 取引の新規登録・更新
- 口座明細の取得
- 勘定科目・税区分の参照
- レポート(損益・残高試算表)の取得
AIが明細データを読み取って仕訳の下書きを生成し、担当者がfreee上で確認・修正・確定する——この流れが基本のワークフローです。
セットアップ手順
ステップ1:freeeのOAuth認証情報を取得する
どちらの方法を選ぶ場合も、まずfreeeのデベロッパーコンソールでアプリを作成し、クライアントIDとクライアントシークレットを取得します。
- freeeデベロッパーコンソール(
developer.freee.co.jp)にログイン - 「アプリ管理」→「新しいアプリを作成」
- アプリ種別:「一般向け」、リダイレクトURIを設定(ローカル版の場合は
urn:ietf:wg:oauth:2.0:oobなど) - クライアントID・クライアントシークレットをメモ
ステップ2-A:リモート版(mcp.freee.co.jp)を使う場合
リモート版は認証情報の管理をfreee側が行うため、設定ファイルを手書きする必要がありません。Claude Codeのターミナルで以下のコマンドを実行するだけです。
claude mcp add --transport http freee https://mcp.freee.co.jp
このコマンドは設定を~/.claude.jsonまたは、プロジェクト直下に.mcp.jsonがある場合はそちらに書き込みます(~/.claude/settings.jsonではありません)。初回実行時にブラウザが開いてOAuth認証フローが走り、以降は自動的にトークンが管理されます。
ステップ2-B:ローカル版OSS(freee-mcp)を使う場合
GitHubのfreee-mcpリポジトリをクローンし、認証情報を環境変数またはdotenvファイルで設定します。
git clone https://github.com/freee/freee-mcp.git
cd freee-mcp
npm install
npm run build
.envファイルを作成し、クライアントIDとシークレットを記入します。その後、.mcp.jsonまたは~/.claude.jsonのMCPサーバー設定に以下を追加します。
{
"mcpServers": {
"freee": {
"command": "node",
"args": ["/path/to/freee-mcp/dist/index.js"],
"env": {
"FREEE_CLIENT_ID": "your_client_id",
"FREEE_CLIENT_SECRET": "your_client_secret"
}
}
}
}
ステップ3:Claude Codeから接続を確認する
Claude Codeを起動し、MCPサーバーが認識されているか確認します。
claude mcp list
freeeが一覧に表示されれば接続完了です。続いて動作確認として、チャットで「freeeの事業所情報を取得して」と入力してみてください。会社名・事業所IDが返ってきたら正常に動作しています。
月次の半自動化ワークフロー
月初:前月の未処理明細を確認する
月が変わったらまずClaude Codeに「先月の未確定の取引一覧を取得して」と指示します。freee MCPが口座明細や未確定取引をJSON形式で返すので、Claude Codeがそれを読み取り、金額・取引先・日付を整理した一覧を出力します。
この段階ではまだfreeeへの書き込みは行いません。データの読み取りと整理だけです。
仕訳の下書き生成
一覧を確認したら、「このリストを仕訳に変換して。勘定科目はfreeeに登録済みのものを使って」と指示します。Claude Codeは:
- freee MCPで勘定科目マスタを取得
- 各明細に対して勘定科目・税区分の候補を判定
- JSON形式の下書きを出力
似たパターンの自動化例は議事録からfreeeへの自動仕訳連携の記事も参考になります。
確認・修正・登録
下書きを目視で確認し、修正があればClaude Codeに「3行目の勘定科目を消耗品費に変えて」と指示します。内容が問題なければ「freeeに登録して」と伝えるとMCP経由で仕訳が登録されます。
重要:freeeへの登録後も、freeeの管理画面で必ず内容を目視確認してください。AIの判定が正しくても、freee側の税区分設定によって意図と異なる計上になるケースがあります。
AIが生成する仕訳・税区分はあくまで下書きです。最終確認・確定は必ず人間(必要に応じて税理士)が行ってください。誤った勘定科目や税区分は確定申告の誤りにつながる可能性があります。本記事の手順は情報提供を目的としており、税務・会計の専門的なアドバイスではありません。
月末:試算表で締め確認
「今月の損益試算表を取得して」と指示すると、Claude Codeがfreee MCPを通じてレポートを取得し、前月比の増減をまとめて表示します。異常値があればその場で深掘りできます。
トラブルが起きた場合はfreee MCP詰まり8選と解決策を参照すると、よくある接続エラーや権限エラーの対処法が確認できます。
注意点
APIのレート制限とコスト:freee APIには1時間あたりのリクエスト上限があります。大量の明細を一度に処理しようとするとレート制限に引っかかることがあります。月次処理は数百件程度であれば問題になりにくいですが、データ移行や一括取込など大量処理の場合は公式の制限値を事前に確認してください。
APIキーと認証情報の管理:クライアントシークレットやアクセストークンは厳重に管理してください。
.envファイルは.gitignoreに必ず追加し、リポジトリに含めないようにします。チームで使う場合はメンバーごとに個別のfreeeアプリを作成するか、権限スコープを最小限に絞ることを推奨します。
プランによる機能差:freeeのAPIで利用できる機能はご契約のプランによって異なります。本記事執筆時点の情報であり、最新の仕様は会計ソフトAI連携比較の記事も参考にしつつ、freee公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. ローカル版とリモート版、どちらを選べばいいですか?
まず試してみたい個人・フリーランスはリモート版(mcp.freee.co.jp)が簡単です。claude mcp addコマンド1行で始められます。一方、社内のセキュリティポリシーが厳しい法人、認証情報を自社で完全管理したい場合、あるいはソースコードを確認したうえで使いたい場合はローカル版のOSSを選んでください。
Q. AIが仕訳を間違えた場合、どうなりますか?
freeeへの登録後であっても、freeeの管理画面から取引の修正・削除が可能です。ただし、確定済みの取引を修正すると帳簿への影響が生じるため、なるべく登録前に下書き段階で確認することが重要です。また、確定申告前には必ず顧問税理士などの専門家に帳簿を確認してもらうことを推奨します。
Q. Claude Code以外のAIエージェントでも使えますか?
freee MCPはMCP標準プロトコルに準拠しているため、MCPをサポートするAIエージェントであれば利用できます。ただし、設定方法や認証フローは各ツールで異なります。Claude Code以外での詳細はfreee MCPとは何かの記事でまとめています。
Q. 価格・無料枠はありますか?
freee MCPの利用自体に追加料金はかかりませんが、freeeの契約プランと、Claude CodeなどのAIサービスの料金が別途発生します。最新の料金・無料枠は各サービスの公式サイトでご確認ください。
まとめ
- freee MCPのリモート版なら
claude mcp add --transport httpコマンド1行で接続でき、設定ファイルの手書きは不要。 - ローカル版OSSは法人・セキュリティ重視の環境に向く。
.mcp.jsonまたは~/.claude.jsonに設定を記述する。 - 月次の流れは「明細取得→AI下書き→人間確認→freee登録→試算表確認」。AIは下書き専任、確定は人間が担う。
- 仕訳の誤りは確定申告に影響するため、最終確認は必ず人間(必要に応じて税理士)が行う。
IT導入補助金を活用すれば、freeeの導入コストを抑えられる可能性があります。補助金の活用条件や申請手続きは専門家に相談するのが確実です。










